12月定例会一般質問報告6

12月定例会一般質問報告シリーズ『住民投票条例について』のご報告です。


ご存知ではない方が大半でありますが、
今、松戸市では『常設型住民投票条例』の設置が進められております。

わずか半年程度の期間に月一回だけ開催の『住民投票制度検討委員会』で、
他市事例との比較から作成された『松戸市住民投票制度検討案』という報告書に
松戸市が企図している条例の中身が提示されています。

本郷谷市長は、当初12月議会で「賛否を問う」としていた
住民投票条例の議案上程を見送りました。

年が明けて、この3月議会にも議案はありませんでした。

「拙速に過ぎる」という市民からの指摘にも応えようとせず、
「決定過程に充分な市民参加なし」
に条例制定を強行に続けようとした今年度の姿勢は何だったのでしょう?

マニフェストへ明記し、平成23年度の施政方針演説でも高らかに謳った
条例制定を先延ばしする理由を有権者の皆さまへどのように説明するのでしょう?

いったい何を目的に住民投票条例を制定しようとしているのか?
一連の答弁から疑念は深まるばかり。

このままでは住民投票条例制度の『政治利用』も疑われかねないその現状は、
即ち、現在の松戸市政が抱える問題を鏡のように映し出します。


<なぜ、住民参加を阻むのか?>

12月議会に先立つ9月議会。
市を二分するような重要案件に対する「住民参加のための条例」である
『常設型住民投票条例』の決定過程に「どのような住民参加が実現されるのか?」
私はとても楽しみに質問をしました。

ところが執行部による答弁は、

条例案作成段階で、議会に案文を提示し、意見集約のうえ、
パブリックコメントを行い、その結果を踏まえて議会する予定。
なお、上程時期につきましては、今年度内に行いたい。
また、パブリックコメント等については、ホームページや広報にて
市民に案内していきたい」

というにべもないものでありました。
つまり、市民に対しては「広報載せてパブリックコメント実施するだけ」と言う意味です。

本郷谷市長による「市民が主役のまちづくり」というスローガンも空しく響きます。
さらに、参加手法の提案を含めて「決定過程への市民参加」を強く求めたところ、

住民投票という具体の検討にあたっては、意見交換会、市民討論会などについては馴染まず、
検討委員会などにより検討を行い、パブリックコメントを実施する方が適している」

とのご返事でした。

「具体の…」
皆さん、意味が分かりますでしょうか?

質問時点ですでに条例案の検討段階は(多くの住民が知らない内に)終わっています。
ですから検討委員会により提示された条例案に対して、
充分な周知と議論の上で「住民自らルールを創る『住民参加プロセス』」が、
直接投票の条例を制定する上で大切であると質問しています。

そこで、パブリックコメント前年度集計の後期基本計画に対する
市民からの意見提出はわずか6名、意見数も13件に留まることを指摘した上、
あらためてこの12月議会の一般質問では、
「なぜ、幅広い住民参加が必要ないと考えるのか?」
論理的な理由を改めて伺いました。
ところが、前回同様の答弁が繰り返されたあげく、

「市民の方々からは、誰もが参加できる
パブリックコメントによるのがふさわしいと考えたもの」

“誰もが参加していない”から質問しているにも関わらず、このお答え。
よほど住民参加して欲しくない事情でもあるのでしょうか?

条例は作ることが目的ではありません。
「そもそも住民投票条例とは何か?」知ることから始めて、
「住民意思が地方自治へ的確に反映されるための整備」
を決定過程の目標としなければ公正かつ適切な運用は困難です。


現在、松戸市ホームページで公開されている報告書『住民投票制度検討案』冒頭に、

地方自治体においては、首長と議会の両者が住民から選出され、住民を代表します。
このような間接民主制のあり方は、二元代表制と呼ばれています。
しかし、住民投票制度のような補完的な制度が自治体において注目を浴びるということは、
元代表制的デモクラシーに対する住民の信頼・信用が揺らいでいるということができます」

という委員長前文が記述されております。

「他の自治体でも導入されているから」ではなく、
はたして、本郷谷市長は政治家としてどのようなお考えを持って
『市民参加』という言葉を多用し、
なぜ、首長として現在の松戸市
「常設型の住民投票条例が必要である」とされるのか?

有権者の皆さまと約束した公約を市政へ反映して頂くためにも、
是非、そのお考えを拝聴することを願い、
この報告書前文論考に対する本郷谷市長自身の見解を質問しましたが、
市長ご本人ではなく、総務企画本部長から合わせて答弁が行われました。

松戸市住民の皆さまが直接投票行為に関わる条例制定に関することです。
市政に関するさまざまな問題について市長や部長など
行政の執行機関へ問うのが議会における一般質問の役割でもあり、
質問対象を通告している以上、たとえそれが同様の答弁であっても、
「市長の口頭より、市長の言葉で」お答え頂くことが重要と確信します。

なぜか?その願いは叶えられませんでした。


報告書には、住民投票制度導入が必要である理由として、
以下のさらに辛らつな言葉が続きます。

「代議制の危機はさらに深刻です。
たとえば、国だけでなく、自治体においても、間接民主制を採るならば、
住民参加の基本は選挙であるということ自体、多くの住民が忘れているか、意識していないのです。
そして、その選挙により選出された首長や議員たちが民意を代表すべきであるにもかかわらず、
彼らを信頼・信用できないことに住民が矛盾を感じなくなっています」

皮肉なことに私が出馬を決意した理由にも重なるこの文言に対し、
松戸市議会議員の、特に二期目以降の改選をされている皆さまが、
「何ら痛痒に感じていらっしゃらない」
無反応が誠に残念でありますが、
松戸市議会議員出身の首長である本郷谷市長は、
どうして他人事のようにかわせるのでしょう?(プライドはないのか!)

かつて「決定過程での市民参加なし」を理由に
紙敷への新病院移転計画に対し、是非を問う住民投票の署名集めを主導したにも関わらず、
「まともな住民参加もなし」に「住民参加のための条例制定」を
進めようとしている自らの矛盾を隠ぺいするために答えようとしないのか?

それとも、市長選を前にして、当時の現職に対する体制批判を目的に
住民の皆さまを煽って住民投票制度を集票の具としただけで、
地方自治における常設型住民投票条例導入の意義など
そもそも真剣にお考えではなかったか?

本郷谷市長のみならず、選挙前は住民投票を煽っていながら、
いざ実際の策定プロセスになると「ほとんど住民参加なし」という事実をスルーして
だんまりを決め込む議員を含め、後に本シリーズで報告致します『議員定数削減』、
並びに『議員報酬』に関する私の一般質問に対する答弁も合わせて、
松戸市民の皆さまにご判断を頂きたいと思います。


もし、本郷谷市長、並びに「是々非々」と言いながらそれを支持する議員による
『常設型住民投票条例』制定の目的が
市立病院上本郷現地建て替えをするための利用にあったとするならば…

あるいは、マニフェストで公約の現地建て替え案が、
市長自ら諮問した民間専門家による『松戸市立病院建替計画検討委員会』の答申で完全に否定され、
腹案として挙げた千駄堀移転案の用地収用予測が進展を見せているため、
『常設型住民投票条例』を急いで制定して利用する必要がなくなったから
議会上程を先延ばしにしているのならば…

さらには、千駄堀移転案を進めるのが、
病院事業の発展や耐震問題を解決する一日も早い建設実現のためではなく、
単に次回選挙のため、
「前市長の新病院建設計画案(紙敷)だけは認めたくない」
ことが主な理由のひとつであるとするならば…

これほど有権者住民の皆さまの心をもてあそぶことはなく、
看過すれば私たちの松戸市に大きなしこりを残します。


今後も引き続き『住民投票条例について』、
「過ちを繰り返してはならない」をテーマに更新します。


それでは今回も「議員として実際に議会を通して行なった発言」から、以下、ご紹介致します。
平成23年9月定例会大橋ひろし一般質問より抜粋)

 地方自治の本旨に基づいて、
住民投票制度の整備自体は歓迎すべきものであります。
また、常設型住民投票条例の策定プロセスは、
市民の皆様に地方自治への理解と関心をお持ち頂き、
その権利と責任を共有して頂くために、
松戸市にとって大変有意義なチャンスであると考えます。

 これまでは、市民公募委員がいるとはいえ、わずか3名。
短期間に行なわれた委員会だけの検討経過でありました。
議論や市民への周知がまだまだ不十分です。

 お隣の流山市では、重要課題への市民投票の制度化を含む
自治基本条例制定に向け、「市民協議会」が構成され、
公募された20代から70代の男女37人が、
約1年半という期間をかけて、市内自治会やNPO
小中学校の生徒会へ手弁当で出向き、
車座の集会を計124回開いたそうであります。
そこで集約された約7千件の意見をもとに、
さらに200回以上の会議を重ねた上で、素案がまとめられました。

 もちろん、市政全体へ関わる自治基本条例と単独案である住民投票条例の
プロセスを単純に比較することは適いません。
しかし、一方的な委員会検討案をネットへ流すのではなく、
日頃あまり地方自治へ関心のない都市部住民の皆様に対して、
そもそも住民投票とは何か?というお話しから始めるにあたって、
主体的な住民から意識の高揚を図り、その輪を広げようとする
流山市の丁寧な策定プロセスから学ぶべき点は多々あるのではないでしょうか。

 事務手続きばかり先行することなく、市民の期待に応えて
「最低でも今後1年程度の策定期間」を設け、改めて幅広い議論を行なっていく、
まさにこれからのプロセスがとても重要となります。

(中略)
 住民投票条例には強硬な反対論者も存在します。
初めの対話のスレ違いが、後に大きな禍根を生むことのないよう
市民協議会や市民検討委員会、住民投票を学べるワークショップなど、
一過性のイベント型集会ではない、小さな単位での集い。
こういう時こそ、市長が構想されている地域協議会のシミュレーションも兼ねて、
各地区で一人でも多くの住民の皆様にご参加頂いて、
慎重に慎重に、そして大いに議論して、
自らのものとして条例制定の時を迎えてもらうべきではないでしょうか?