12月定例会一般質問報告4

この12月定例会での『千駄堀地区の緑地保全』について一般質問後、
12月21日に開催された市立病院建設検討特別委員会にて、
突如、明確な説明なしに斜面林下の埋立地(市有地含む)を事業候補地から外し、
台地の畑部分の買い取り・借り上げ面積を拡げるとの意向が示されました。

これまで「伐採する」とされていた斜面林は「残される」ことに。


斜面林は守られた!!

その分、必然的に台地の畑はさらに減少して一帯からほぼ消滅する計画となり、
まだまだ予断を許しません。

地産地消型ビジネスへ積極的に参入し、
スローフード食材の生産・流通に取り組む起業家が増えている昨今。
川を挟んでお隣の東京都との差別化となり、
今後、ますます松戸市の都市ブランド構築に重要性が増していくであろう
農地を含む緑地帯とその景観及び生産物による地域産食品。

一方で、高齢化、後継者不足、営農継続の困難、
所有者である農家の皆さまが病院用地提供へと傾くご事情は当然のこと。

正しくそのために、この12月定例会一般質問で
みどりと花の課・農政課より頂いた答弁の通り、松戸市には
「農用地の保全と有効利用により、秩序ある土地利用の確保を図る」
と規定した『農業基本構想』が存在し、
生産緑地含む農地全般の維持保全が実施され、一定の成果を挙げています。

広大な土地利用で求められる公共の福祉には、
より大きな地域戦略と哲学を伴う判断が必要とされます。

その上で、医療過疎地域でないにも関わらず、
自治体立病院の移転が環境破壊より優先される」
と、市民の皆さまがご判断されるのなら、その決定に従います。

但し、そうでなくとも、かろうじて自然の趣きを残すこの千駄堀地区には、
かつて廃棄物で谷津田を埋め立てたばかりでなく、
3・3・7号線で分断し、都市公園、大ホール等公共施設の開発により、
日本人の心の原風景である里やま環境を無残な姿に変貌させて、
多くの市民の心情を傷つけたという歴史的背景があります。

隣接する自然保護区域を含む生態系への影響はもちろん、
環境負荷を含むトータルなライフサイクルコストの算出なしに
この21世紀に都市部で行なわれる大規模開発行為などあり得ません。

一般質問の最後で、
私は本郷谷市長に対し、今一度、再考を促すと共に、
もし、このまま千駄堀移転を強行するのであれば、
より早い段階で環境影響評価を行なう『戦略的環境アセスメント』導入などにより、
「市民の皆さまへ説明責任を果たすことが大前提」であることを申し入れました。


 台地の畑〜市内で絶滅の危機に瀕する貴重な農地


常に不透明な形で提示される推奨案(千駄堀移転)、ころころと変わるその中身。

後にご報告致します『住民投票条例』でもそうですが、
なぜ、本郷谷市長体制下の執行部は、市民の皆さまの見えないところで
次々に既成事実を作るかのような進め方ばかりするのでしょう。

どうしてここまで松戸市立病院建て替え問題がこじれたのか?
これまでの教訓から学ばずして、先へ進むことはできません。


<そして事件は起きた>

冒頭で触れました12月21日開催の市立病院建設検討特別委員会終了後、
退席する委員に対し、叱責するかのように問い詰める不審な姿がありました。

当初、傍聴人かと思われたその人物は議会棟廊下にて、
やおら私の前に立ちふさがり、大声で怒鳴りつけ、恫喝を始めたのです。

曰く、「アンタは患者を殺す気か!」

昨年10月25日「多剤耐性緑濃菌による院内感染で患者3人が死亡した」
と報道されたのは、江原正明院長率いる松戸市立病院であって、
無論、私ではございません。

「いったい、何の話しであるか?」
そもそも「この人は誰なのか?」

唖然とする私に、その人物は目をむいて逆上し、
掴みかからんばかりにたたみ掛けました。

身の危険を感じた私は、必死の抵抗を試みました。
言論の府である議会棟へ、なぜこのような直接行動をとる人物が紛れ込んでいるのか!
警備、リスクマネジメントなど議会事務局による安全管理体制はもちろんのこと、
この松戸市では言論の自由が守られるのか?」大きな不安を覚えます。

驚いたことに、社会通念上、常軌を逸した行為をするその人物は、
松戸市立病院院長・江原正明氏その人でありました。


事前の打ち合わせでもあったのでしょうか?
この日の委員会にて、
寝耳に水の松戸市立病院1号館“耐震工事”の件が突然持ち出され、
委員の中から賛同するかのような声が上がったのです。

まだ正式に決まったわけではない、
腹案なる千駄堀への移転建て替えに要する6年間という時間経過に対応するため、
既存の松戸市立病院1号館に「“耐震工事”を施す」とのこと。

「ちょっと待ってください!」

一日も早い建て替えが望まれ、その実現が求められているにも関わらず、
本郷谷市長の迷走によって本質的な論議が遅々として進まない状況で、
話しの順番が違うではないか。

しかも、移転建て替え終了後、工事をした1号館は「取り壊す」という、
市民の皆さまには聞き捨てならない言葉が平然と出てくるではないですか。

簡単な施工図面もなければ、見積りもない状態で、
工事への賛否について委員会で話しが始まってしまったのです。

私は患者さんと働く人々の安全対策に異を唱えるつもりはありません。
しかし、またしてもあまりに唐突で杜撰な提案に対し、
建築のプロとして、どうやって“耐震工事”をするのか?疑問を呈しました。

“耐震”と言うが、それはどのような種類の工事か?
工費はいくら、工期は何年掛かるのか?
予算の財源はどこで、どうやって捻出するのか?
工期中、受付事務・診療と患者はどうするのか?
その間の減収を算出しているのか?

1号館の構造上、一部の基礎や躯体への補強工事はできても
限定的なものにしかならないはずです。
それでも効果を求める工事をするならば、
患者さんはもちろん、病院経営への影響は甚大。
設備の陳腐化も解消されません。

そもそも耐震工事が可能なら、移転建て替えなど必要ないではありませんか。

新病院建設に着手するものと信じている市民はどう理解すればいいのでしょう。
それならいっそ、本郷谷市長が有権者と約束された選挙公約通り、
「1号館を“64億円”で建て替えてみせればよろしい」
そう思うのはきっと私だけではありません。

私は委員会で責任を果たすべく、至極良識から意見を述べました。
その意見に対して行なわれたのが、冒頭にあります松戸市立病院長からの恫喝なのです。

割って入った病院事務局長より、
後日、「院長より謝罪する旨」伝えられましたが、その約束は反故にされました。

もし「“耐震”の実現しない補強工事」の予算を計上するのであれば、
クリアして目的を共有すべき本質的な課題があります。

これからの松戸市立病院をどうしていくのか?
改革プランの達成率が極端に低い原因は何か?
このままで公営企業経営が成り立つと考えているのか?
改訂される診療報酬で政策医療をカバーできるのか?
リスクの高い産科・小児科でも建て替えれば医師の確保は将来的にも可能なのか?
ターミナル駅の徒歩圏でなくても競争力は保てるか?

それでも、一日も早い移転建て替えを実現するには、
関係者それぞれがどのような責任を果たすべきか?
首長、議会、そして議員に、さらには行政職員に何を求めるか?
市民に理解と共有をしてもらうべきことは何か?

そのために私たちは、いつから・何に・どのようにして取り組むのか?

忌憚なく、本音で話し合えるまたとない機会として、
対話の準備をしてお待ちしていたにも関わらず、
このひと月、江原院長はついぞ、私の前には現れませんでした。


「(工事に)反対しやがって、アンタは患者を殺す気か!」

つい一年ほど前まで一(いち)民間人であった私が、
齢五十を過ぎてから慣れない世界(政治・議会)へ赴き、
突然、怒鳴りつけられた驚きと恐怖を想像してみてください。

今でもフラッシュバックが起きるほどです。

医師法第1条では「医師の任務」として、
医療と保健指導を司ることによって、
公衆衛生の向上と増進に寄与し、国民の健康的な生活を確保する。

とされています。

自らの意に沿わなければ、「反対者」と決めつけて脅し、
恐怖とストレスを与えるのが「医師の任務」ではありません。

それ以前に、「殺す…」とは、
公立病院の医療従事者トップから、なんというおぞましい言葉の響きでしょうか。

文字通り「言論を封殺する」この人物は、
いったい如何なる職務を行なっているのでしょう?

もし日頃より、権力を嵩にして「居丈高に恐怖政治を強いている」とするならば、
我が松戸市立病院で医療過誤や不祥事を誘発する要因となる可能性があるばかりでなく、
赤字垂れ流しや医師が減少し続ける理由も無理なからぬことであります。

松戸市病院事業管理規程第7条「病院長の職責」には、
病院長は、管理者の命を受け、
医療法(昭和23年法律第205号)第15条の規定に基づき医療業務を管理し、
医療従事職員を指揮監督する。

とあります。

公職の選挙で主権者たる有権者住民から推された議員を、
しかも厳粛なる議会棟の中で恫喝し、圧力を掛けることが
「病院長の職責」であろうはずがありません。

このような言論弾圧「議会制民主主義に対する冒涜」であり、
とても看過するわけには参りません。


今後も同様の行為が繰り返されるのであれば、
地方自治法第6章により全国の地方議会で設置されている各委員会で
まともに意見を述べることができなくなってしまいます。

私は今週1月24日開催の市立病院建設検討特別委員会冒頭で
委員長に発言許可を頂き、正式に抗議致しました。

この『松戸市立病院長議会棟擾乱事件』に関する以降の経過については、
本一般質問報告シリーズとは別枠で、このブログはもちろんのこと、
市政報告会、印刷配布物などあらゆる機会を通じて、
逐次、市民の皆さまへご報告して参ります。


最後に、もしこの度の申し立てに対する意趣返しとして、
例えば「そんなことを言うなら、医局の医者を松戸から引き上げるぞ」などといった、
起きてはならない『圧力を伴うブラフ』へと転嫁するようなことあれば、
院長の給与を含む自治体立病院の事業費を負担する納税者であると同時に、
医療サービスの潜在的な顧客でもある松戸市民にとりまして、
特にこれから松戸市でお子さんを生み・育てようとする若い皆さまにとって、
自身や家族が患者となる以前から受けるドクターハラスメントに他なりません。

市民の皆さまによる注視と監視をお願い申し上げます。


次回は一般質問の報告に戻ります。


<つづく>